最近、日本はもちろん国際的にも注目されているのが「過活動膀胱」と呼ばれる尿の疾患です。 2001年にフランスのパリで開かれた国際尿失禁学会で承認きれた新しい病気で、尿意を我慢できない尿意切迫感や頻尿、尿失禁など3つの症状が合わさった症候群のことを指します。先にご紹介した腹庄性尿失禁や切迫性尿失禁といった、女性に多い尿もれを総称して過活動膀胱と言うこともあるようです。
日本排尿機能学会では、02年11月から12月にかけて日本で初めて大規模な排尿に関する疫学調査を行いました。この調査によると、40歳以上の男女の12.4%、およそ8人に1人が過活動膀胱に悩んでいるという結果が出ました。人口換算にすると820万~830万人になります。ちなみに、昼間頻尿は50%、夜間頻尿では69%もの人が症状を訴えています。 尿もれは、直接、生命にかかわるような病気ではありませんが、恥ずかしさや不安感から人に相談することもできず、日常生活に大きな影響をもたらします。特に患者さんにとって大きな問題は、生活の質を意味する言葉として使われる「QOL(quality of life)」に悪影響を及ぼすことです。 日本排尿機能学会の調査によれば、 ・外出する時に不安になる ・トイレで目が覚めて睡眠不足になる ・遠出や団体行動を避けるようになる ・自分の症状に恥ずかしさを感じる といったように、心の健康や家庭生活、仕事、身体機能などのQOLが著しく低下することが明らかになっています。スポーツや旅行、観劇など生活の楽しみの部分が制限されるだけでなく、配偶者や家族にも話せず独りで悩む人も少なくないようです。 過活動膀胱の治療には、医療機関では基本的に運動神経系に作用する新薬を中心とした薬物療法や手術が行われるほか、膀胱や骨盤底を強化するトレーニング、日常のセルフケア(水分をとり過ぎないようにする、尿意を感じるまでトイレに行かないような習慣を身につける、カフェインやアルコールは避ける等)などが施されます。適切な治療を施せば症状を和らげることは可能ですが、治療法を知らなかったり「年のせい」とあきらめてしまう人がいるのも現実です。 漢方では、八味地黄丸、六昧丸、真武湯を始め「尿」のトラブルに対応する処方が数多くあります。
by mkkiri
| 2014-01-14 12:02
| 漢方薬
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