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月経困難症と漢方

月経困難症と漢方
月経時に下腹部の痛みや腰痛、頭痛などがあらわれる場合を月経困難症といいます。吐き気や嘔吐、めまいをともなうこともあり、なかには下腹部痛が強くて日常生活が送れず、寝込んで鎮痛剤を服用しなければならない場合もあります。 月経のあるどの年代にもみられますが、初経があって2~3年後、排卵が正常に起こるようになる16~17歳から発生頻度が高くなります。子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜炎などの器質性の病気によって起こる器質的月経困難症と、器質性の病気が認められない機能的月経困難症があります。漢方では、血の調整を基本とし、気血の運行をスムーズにします。


桃核承気湯
月経痛が非常に強く、のぼせがあり、へその下に痛みを感じる、便秘がちな人に使用されます。気の巡りをよくする働きもあるので、月経時にイライラして怒りっぽくなるという人にも向いています。月経周期の乱れの治療にも、使われる漢方薬です。膀胱付近に熱が強いため、血の停滞を起こし血液循環が悪くなり、神経痛や腰痛・肩こりなどが起こります。また、熱のために便秘や神経興奮も起こり、いらいらなどの神経症状も起こります。桃仁・芒硝で血の熱を冷ますことにより、血の停滞をのぞき血液循環をよくします。甘草が働いて痛みや肩こり・冷えのぼせ・下腹部の抵抗圧痛を取り除きます。桂枝で神経興奮を静めていらいらなどの神経症状を緩和します。大黄で腸の熱を冷まし、便通をよくします。
桃核承気湯(とうかくじょうきとう)の詳細はナガエ薬局

桂枝茯苓丸
下腹部に膨満感を感じ、頭痛や肩こり、のぼせなどがあるタイプの月経困難症に向いている処方です。子宮筋腫や子宮内膜症など、器質性の月経困難症の治療にも比較的よく用いられます。ひえのぼせの代表的な処方です。血の熱の為に、血の停滞を起こし血液に循環が悪くなり、冷えのぼせの症状がでます。またもともとから血の循環が悪い人が、他の原因で血の停滞ができてしまい、なかなか治らずつらい症状が出ます。このような人によく使います。桃仁・牡丹皮は、血の熱を冷まして停滞している血の流れをよくします。桂枝・茯苓で皮膚表面の新陳代謝をよくし冷え・のぼせの症状を緩和します。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)の詳細はナガエ薬局

加味逍遥散
上半身にはほてりがあるのに手足が冷たい、冷えのぽぜがあり、イライラしたり落ち込んだりと、気分の変化が激しいタイプの月経困難症に適しています。生理前に胸が硬く張る人に使用します。冷えや・自律神経の乱れによって、ホルモンバランスが崩れ血流の循環も悪くなって、肝臓の働きが低下します。その為に便秘になったり、貧血・肩こりなどさまざまな症状が出てきます。山梔子・薄荷で自律神経を安定させます。柴胡で肝機能を高めます。当帰・芍薬・牡丹皮で、血液の働きを増すことによってホルモンバランスを整え、疲労倦怠・貧血・肩こり・便秘などの症状を改善します。
加味逍遥散(かみしょうようさん)の詳細はナガエ薬局

五積散
体質的に虚弱で寒冷および湿気に対して順応する力が乏しくなっています。そのために気温が急激に低下したとき、また急激に湿度が高くなったとき腰・下腹・下肢に冷汗や痛みをおぼえます。白朮・厚朴・陳皮・枳殻・甘草で胃に停滞している水分を取り除きます。当帰・川きゅう・芍薬で血の冷えを温め働きを増し、造血をはかり貧血を改善します。桔梗・麻黄・白朮・乾姜・桂皮はからだの冷えを温め、総合的に水分代謝・血液循環をよくし、臓器の機能を高め症状を緩和します。月経時におなかが痛み、上半身は、のぼせを感じているのに、へそから下の部分には強い冷えがある人に適しています。
五積散(ごしゃくさん)の詳細はナガエ薬局

当帰芍薬散
体力があまりなく貧血傾向があり、冷えが強いタイプで、頭が重い、下腹部が痛む、めまいがするといった月経困難症の諸症状が起こる人に向いています。肌荒れや血色が悪いときにも処方されます。生理前にむくんだり、胸が柔らかく張る人によく使用します。貧血・冷えの為、腎や膀胱付近の血液循環が悪くなりその働きが低下した為にむくみが生じます。当帰・川きゅうは血の冷えを温め造血をはかる働きを持っています。芍薬とともに血液の働きを増します。茯苓・白朮で冷えやむくみなどの原因となる体内の余分な水分を尿として流すことによりむくみを改善します。
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)の詳細はナガエ薬局

温経湯

不正性器出血に対する処方ですが、月経不順・月経困難症によく用います。冷えがきつい症状をもち瘀血(おけつ)のある状態に使用します。呉茱萸・桂枝・当帰・川芎で体を温め血流を良くします。阿膠・麦門冬・芍薬・当帰で体に栄養を与えます。牡丹皮で瘀血(おけつ)を取り除きます。暖宮(子宮を温めます。)やや疲れやすく、冷え症なのに足にはてりを感じ、唇が乾きやすい、といった人に適応します。また、陰部が引きつるように感じる下腹部の痛みがあることも、処方の目安になります。月経困難症のほか、更年期や不妊症にもよく使用します。補気健脾・補血調経・健脾利水・調経の効能をもちます。
温経湯(うんけいとう)の詳細はナガエ薬局
by mkkiri | 2013-04-27 10:26 | 漢方薬
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