胃下垂と漢方薬

胃下垂と漢方
胃の上端の位置は正常でも、胃の下端が骨盤の位置まで垂れ下がっている状態をいい、症状がないかぎり病気ではありません。やせ型の人、妊娠・分娩をくり返して腹壁のゆるんだ女性に多くみられます。 原因は、内臓を固定する靱帯(じんたい)が体質的に弱いためと考えられています。腹腔内の諸臓器が垂れ下がる内臓下垂症の部分症状として起こることが多く、胃下垂症の人は同時にほかの臓器の下垂をともなう場合が多いものです。

補中益気湯

中医学では、特に内臓の位置に保つ働きが失調することを「気陥」と言います。脾(消化器)気虚の状態が進行することによって脾の升提作用(すくい上げたり・のぼらせたりする作用)が失調して下垂症状を起こします。中医学では、胃だけでなく、遊走腎や脱肛、脱腸、子宮脱なども中気下陥と考えます。その代表処方が補中益気湯です。補中とは、消化器を(脾)を補うことです。胃腸の働きを高め、体力を補い元気をつけることを補中といいます。下垂症状のほかにも、虚弱体質、食欲不振、病後の衰弱、疲労倦怠、夏負けなど、多くの虚証症状に用いられます。

苓桂朮甘湯

消化器に停滞した体内の水分が代謝が悪いために肺の方に集まり、それが鼻水や回転性のめまい動悸・頭痛などとなって現れてきます。茯苓・白朮・甘草で消化器に停滞している水分を尿として流します。桂枝で鼻水やめまい・動悸・頭痛などの症状を緩和します。この処方は、水毒を改善する漢方薬で、尿量が少なく、上半身がむくみ、動悸、息切れ、めまいなどの水毒が原因でおきる症状を改善していきます。朝おきてから午前中までは元気が無く午後から元気になるような人によくあいます。

六君子湯

胃に冷えがあるため胃腸の働きが悪くなり、水分代謝が悪くなっているために疲れやすい・軟便傾向・みぞおちあたりがつかえるなどの症状が起こります。人参・白朮・茯苓・甘草で胃を温め弱った胃腸の活動力を高めます。陳皮・人参はみぞおちのあたりのつかえを取り去ります。半夏・白朮・茯苓で胃腸内に停滞している水分を尿として流すことによって、水分代謝をよくしながら症状を緩和します。胃の中に溜まっている水分を排出し、胃腸を強化し、消化吸収を促進させ、胃下垂による症状を改善していきます。胃下垂は、水質の停滞が原因と考えられていますので、漢方治療では、水質の流れを改善する処方が選択されます。その代表処方です。

半夏白朮天麻湯

胃腸の働きが悪い人のめまい頭痛吐き気に用いる代表処方です。食欲が旺盛でよく食べ日頃から痰が多い人が回転性のめまいにかかったときにものすごくよくよく効きます。また、車酔いにもよく効きます。天麻と半夏・陳皮めまいを改善させます。黄耆・人参・白朮・茯苓・蒼朮・黄柏で胃腸の調子を整え吐き気などを押さえます。胃腸虚弱、食後眠い、持続的な頭痛、めまい、肩こりなどの症状を改善していきます。胃腸虚弱による消化不良が原因で、栄養の吸収がうまくいっていないために全身の気血の流れが悪くなります。水毒による虚弱体質を改善する処方です。

桂枝加芍薬湯

冷えのために内蔵の血液循環が悪くなり、腸の働きが悪くなって腹部が痛んだり腹が張ったりします。芍薬で腸の血液循環をよくし、腸の働きを強め下腹部の痛み・渋り腹・お腹の張りを緩和します。桂枝・生姜で胃や大腸を温め腸全体の働きを強め、胃腸を丈夫にし同時に排尿の量をととのえます。腹部が張って。痛みがあり、頻繁に便意を催すが、排便が困難という状態に使用します。胃腸の働きを改善し、水の循環をよくすることで、胃下垂による不快な症状を改善していきます。


人参湯

手足や腹の冷え、小便が薄く多量で回数が多い、倦怠感や食欲不振などの症状をもつ人に使います。人参・白朮・甘草で消化器を温め消化・吸収する力をつけ体全体の働きを良くします。乾姜で体の内部を温めます。胃腸に溜まっている水分を排出して働きを改善し、体を温めることによって胃下垂によっておきる不快な症状の改善を行います。軟便傾向が改善できなければ、扶陽理中顆粒に変更します。
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by mkkiri | 2013-03-14 16:07 | 胃腸薬
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